フォトグラフ




「これって皐月の気持ちも言うべきか?」



う~んと唸った俺は、

「いや、俺は勇人を演じるんだし、『勇人が思う皐月の勇人に対する気持ち』を分かっていればいいんだと思う。勇人が皐月の気持ちまんま分かってないから溝が出来るんだし…。」



「そっか。

確かに俺とお前みたいに同性の幼なじみなら考え方も似てるし、分かりやすいんだろうけど、


勇人と皐月は異性だからな。

俺もたまに透子が何考えてるのか分からねぇ時あるし。」


「えっそうなの!?
でも、あんま喧嘩してなくないか?」


これには驚いた。



三年以上付き合ってるし、

もうお互いの気持ちはほとんど分かるんだろうなって思ってた。



「しょうもない喧嘩なら、しょっちゅうしてるぜ?


むしろ付き合いたての方がしてなかった。
お互いに遠慮してたしな。

半年してからは、何回か別れそうになるぐらいの喧嘩もしたしなぁ。」



知らなかった。


確かに哲哉が機嫌悪いなぁって時期はあったけど、まさかあん時?



「それを思うと、勇人達も初めての喧嘩?だったんじゃないか?

小さい喧嘩はあったかもしれないけど、幼なじみとしてやってけないぐらいのは、初めてだったからお互いに戸惑っただろうな。


小学生ならなおさら。」



哲哉に、ほーっと感心した。


やっぱり哲哉に聞いて正確だった。



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