風のおとしもの。



「雛、駅前寄ってくか?」


努めて明るい里香さんの声が、胸を締め上げる。
私は優しくしてもらう価値のある存在じゃない。
責められて、貶されて、そうあるべきだ。


「………気にするな。雛乃はいつも思い詰めすぎる」

「そんなこと……」

「なぁ雛、ボーリングやったことあるか?」

「いえ…」

「じゃあ行こう。教えるから」

「…………」


ダメだ。口が重い。
せっかく私のためにあれこれ勧めてくれてるのに、最低だ。
でも鉛で喉を塞がれたみたいに、そこで言葉が詰まる。
俯いてる私にも伝わってくる、微妙な空気。


「………ごめんな。こんな時、なんて言えばいいかわからないんだ」


ちらっと顔を上げると、里香さんは右手で眉間を押さえていた。
目はきつく閉じられていて、苦しそうだ。


「………私がいけないんですよね」

「雛は何も悪くない。そんなに自分を責めるな」

「だって私がいなければ、皆さんは今まで通りだったハズです」

「それは結果論だ。あまり自分に悪い方へばかり考え過ぎるな」

「いいえ、違います。せめて佳代さんに拒絶されたあの時に、皆さんから離れていれば良かったんです。それを私は、欲を出して―――」


なんだろう、この感じ。
胸の奥で黒い禍々しい靄が渦巻く。



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