風のおとしもの。




「最初っからいなきゃ良かったのに…」



ぼそっと言う美紀さんの言葉が、胸を締め付けた。
注文していたケーキと紅茶が運ばれてくる。
かちゃかちゃと食器がなる音が耳に響く。

わかってる。
そんなこと、一々美紀さんに言われなくたってわかってるんだから。


「……でさぁ、話戻るけど―――」
「美紀さんに言われたくないです」

「はぁ?」

「あなたに言われなくても、わかってますから」

「何が?」

「私なんか、いなきゃ良かったんだって…」


口に出してみて、なんて虚しいんだろうと思った。
吐き気がする。


「最初っからいなかったら何も問題なかったんだけどねぇ」

「………っ」

「でもいるんだから仕方ないじゃん、佳代たち傷付けた分謝ってよね」

「無理です、今更謝ったところで許されることでは……」


「…っもおぉおぉぉお!」


髪を逆立てる美紀さんは、びしっと指差してきた。


「なんでみんなそーイジイジしてんの!?意味不明なんだけど!」

「みっ、美紀さん、ここお店の中……」
「あんたがいなきゃ良かったとか、あの時あーしてたら良かったとか、そんな例え話ばっかしてても解決しないの!」


ヒートアップしていく美紀さんを止められるわけもなく。


「現に雛ちゃんはいるんだから!美紀たちと関わっちゃったんだから!消えていなくなったりしないんだから、責任取って謝るのが筋でしょ!?」


向かいの席から身を乗り出してくる美紀さんにたじろぐ。
すごい迫力。


「……お客様、店内ではお静かに…」

「ぁ……ごめんなさぁい、美紀興奮しちゃって」


案の定店員さんに注意される。
愛らしい仕草で席に戻る美紀さんですが…。
さっきの剣幕、店内の人みんな見てましたから。





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