風のおとしもの。


そうしていると、不意に携帯が揺れた。
……電話?


「ぁ、わっ!村井君っ」


表示に驚き居住まいを正すと、一呼吸置いてボタンを押した。


「……はい」

「よぉ、久しぶり」


最近はメールもしていなかったので、本当に久しぶりに話します。
なっ、何話そう……。


「今大丈夫か?」

「はい」

「祭りの日近付いてきたし、予定聞いとこうと思って」

「あっ、んと、どの日でも大丈夫です」

「そうか。なら本祭りの日に行くか」

「はい!」

「んで、他は決まったか?」

「うっ………」


全く決まっていない。

とは言えませんっ。
せっかく村井君と遊べるのに、そんなこと言ってふいにしたくない。


「えっと、なくはないのですが…」

「どこ?」

「んと、村井君は好きじゃないんじゃないかなって……」

「言ってみろよ」

「………美術館」

「へ?」

「だから……美術館、です」


電話口だったのでつい口走ってしまった。
…却下だろうなぁ。

面白くないヤツって思われるよ絶対。
うぅ…。

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