風のおとしもの。



「お前なぁ……」

「ごっ、ごめんなさい!それは一人で行ってきます!」

「絵好きなのか?」

「嫌いじゃないというか、母が好きだったというか……」

「へぇ…」

「すみません、また考えます」

「…別にいいけど」

「?」

「美術館、付き合ってやっても」

「ぅえっ!?」

「ばっ、デカイ声出すな!」

「はっ、ごめんなさい」


でも、今いいって言った?
嘘……。

…やった……。
やった!


「中日の本祭り行って、次の日美術館でいいか?」

「はい!」

「あとはどっかあるか?」

「それが、まだ……」

「わかった」

「すみません」

「その週なら大体空けてあるから、決まり次第でも大丈夫だ」


なっ。なんて優しいお言葉なんでしょうかっ。
私なんかの為に……。
ってダメダメ、美紀さんに怒られちゃう。


「んじゃ、またメールしてくれ」

「はい」

「あー………早乙女とは、なんともなかったか?」


切り際になって、柔らかな声が耳をくすぐる。
そうだ、村井君に相談したくせに報告を忘れていました。
心配してくれてたのかな。
だとしたら申し訳ないです……。

「はい、大丈夫です」

「そうか」

「お会いした時にまたお話します」

「わかった」


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