風のおとしもの。



「いっそ私が、お母さんの代わりに―――!」
「雛ちゃん」


小さな悲鳴。
おばさんの手が真っ直ぐ伸びてきて、首を絞められるのかと思った。


「馬鹿なこと言わないで」


痛みでも憎しみでもなんでもなくて。
ただ息苦しいくらいきつく抱きしめられた。


「おばさ……」

「誰もあなたのこと恨んでなんかいない」

「でも、私は…」

「確かにあの子のことは悲しい出来事だった。けど雛ちゃんだけが悪いわけじゃないわ」


耳元でおばさんのか細い声がする。


「雛ちゃんが悪いとすれば、みんなそうなのよ?あの子から離れていったお父さんも、気付いてあげられなかった私たちも……」

「………」

「自分ばかり責めないで。例えあの子があなたを責めたとして、私は雛ちゃんのこと責めたりしないから」

「おばさん…」

「………ね?」


温もりが離れて、そこにはいつも通りのおばさんがいた。


「時間、きちゃうわね。ささっと結い上げちゃうわよ!」


私の髪を梳く仕草はとても優しくて、温かで…。


「今日会うのは村井君かしら?」

「えっ……」

「あら、当たり?」

「………はい」


くすくす笑うおばさんに、正直に答えた。
………ダメだったでしょうか。
不良な子だと思われたかな…。

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