風のおとしもの。
「ふふ、この浴衣にも合うと思うの」
「………あの」
「なぁに?」
「それ、私………」
「?気に入らなかったかしら」
「いえ、すごく可愛いです。そうじゃなくて…」
付けられない。
そんな大切な物。
「やっぱり髪はこのままで―――」
「雛ちゃん」
厳しい声がした。
鏡を見るとおばさんが見たことないくらい苦い顔をしてる。
「この家では、何も遠慮することはないのよ?」
「っ………」
「あなたは私たちの家族なんだから」
櫛を置くと、おばさんは膝をついて私を見上げた。
「あの子のことも、雛ちゃんが気負うことはないんだから―――」
「私がいけなかったんです」
辛そうな顔。
みんな私を見ると息苦しそうに顔をしかめる。
そんな表情をさせて、同情までしてもらうなんて出来ない。
「私が、お母さんを追い詰めたんです。お母さんは優しいから、私を許してくれました」
「でも、やっぱり私がいけなかったんです。私はおばさんやおじさんに怨まれて当然なんです」
眩暈がする。
おばさんの方見れない。
例え罵詈雑言投げつけられて殴られたって構わない。
おばさんを、おじさんを、そしてお母さんを苦しめる私なんて、いらない。