風のおとしもの。
「いってきます」
「気をつけてね」
「はい」
「あ、あと遅くなるなら電話してね」
「わかりました」
「楽しんでらっしゃい」
「はい」
なんだか行くのが名残惜しいというか、もう少しおばさんと話していたかった。
今までこんな気持ちになったことがなくて戸惑う。
「何か欲しいものはありますか?」
「そうねぇ、徳之さんは甘栗が好きだったわ」
「おばさんは?」
「うーん、人形焼きかしら?」
「人形……?…わかりました」
「あら、買ってきてくれるの?ならちょっと待ってて」
「?」
パタパタと部屋に入っていくと、また駆け足で戻ってきた。
「はい、お小遣」
「ぅえっ」
「少ないかしら?」
「いえそんな……もらえません!」
「いいから」
「でも…」
「あの子はいつもおばさんとおじさんに千円ずつ渡すようせびってきたのよ」
懐かしいと笑うおばさんは、千円札を二枚持たせてくれる。
「今年からはひーちゃんにあげるわね」
「おばさん…」
「さ、もう行かなきゃね」
「………はいっ、いってきます!」
おばさんに背を向けると、ドアノブに手をかけた。