風のおとしもの。



「雛ちゃんパシったでしょ!サイテーなんですけど」

「なんだこいつ」

「美紀さん…です」


はぁとため息をつく村井君は、後ろ頭をかいた。
だって、それ以外になんと形容していいのかわかりません。


「美紀の言う通りだよ。鷹文、ちゃんと雛の傍にいなよ」

「お前らには関係ねぇだろ」

「雛、チャラそーな男どもに捕まって連れてかれそうだったんだよ?」


村井君は目を見開いたかと思うと、じっと私の方を見た。
目が合ってすぐ、反射的に俯いてしまう。
怒ったかな…。


「もう陽も落ちてきてるんだし、あんま適当なことするなよ」

「………本当なのか?」

「あ…えと、でもすぐ佳代さんたちが来て離してもらえたので、大丈夫です!」

「美紀たちいなかったら絶対ヤバかったっつの」


出来るだけ明るい声で言ったにも関わらず、ぶすっとした美紀さんの呟きに台無しにされる。


「大丈夫でしたよ!」

「嘘に決まってんじゃん!ちゃんと断れるならナンパで体触られることなんて早々ないっつの!」

「嘘じゃないです…けど……なんぱって何ですか?」

「は?」


軟派……軽い、というか、現代でいうチャラいに当てはまるのかな。


「鷹文…雛、カラオケも怪しかった子だからさ…」

「………悪かった」


村井君が妙に素直です!
…というかこの空気……なんなんでしょう。

軟派ってそんなに浸透した言葉だったのかな。


< 371 / 382 >

この作品をシェア

pagetop