風のおとしもの。
りんご飴を売っている屋台と村井君との待ち合わせ場所は近かったので、案内だけして村井君の元へ向かった。
「お待たせしましたっ」
「お前なぁ……電話出ろよ」
「はっ」
巾着から携帯を取り出すと、2件の不在着信があった。
「…すみません」
「まぁいいけどよ…そんなに混んでたのか?」
「いえ、戻る途中で佳代さんたちに会ったもので…」
村井君の眉がぴくりと動いた。
「…大丈夫か?」
「へ?」
「なんつーか……」
村井君の視線が惑う。
……心配してくれてるのかな。
「大丈夫です!」
「…そうか。悪かったな、パシらせちまって」
「いえ………はっ、パシらるというのは使いっぱしりの略語なのでしょうか」
「パシる、な」
珍しく冴えた。
嬉しくてニヤけると、村井君に嫌そうな顔されてしまう。
……ちょっと傷付いた。
「で、戦利品は?」
「これです。なんだかたくさんもらってしまいました」
「…お前すげぇな」
「?」
「やっぱ一人で行かせて正解だったかも…」
ぶつぶつ呟く村井君は、さっきの私に負けないくらい顔がニヤけている。
何はともあれ、喜んでもらえたなら何よりです!
「あーっ、村井鷹文発見!」
小さく美紀さんの声がしたと思うと、いつの間にか近くまできていた。
神出鬼没と言うのでしょうか……美紀さんの場合、言い得て妙です…。