風のおとしもの。






「冗談、ね」



「何か言いましたか?」

「いや?―――村井、キティちゃん」

「…ほらよ」

「ちょ、ポケットから」

「あはは!村井のジーパンからキティちゃん!」

「……生暖かい」

「ちょ、里香やめて、マジ死ぬっ」

「村井の温もりっ」


「………お前もうこいつらと関わるな」

「え、と……」


みんながあんまり笑うので、村井君が不憫になってきました。
でも可愛いものがこんなに似合わない人もいるんだなぁ。


「お前も笑うんじゃねぇ」

「いでっ」

「おら、わたあめ」

「あ………ありがとうございます」


言われて顔を引き締める。
受け取ると仄かに甘い匂いがした。

真っ白なビニールの袋がパンパンに張れてる。
お母さんと来た時も買ってもらったなぁ。


「うわ!こっちもマジでキティちゃん!」

「鷹文なんて注文したんだよ、マジうけんだけど!」

「お前らいい加減にしねぇと本気で殴るからな!」


止まらない二人に息を切らす村井君は、本当に不憫だった。


「あの、村井君。私はすごく嬉しいです。わざわざありがとうございました」

「ったく……お前らも小鳥遊見習えよな」

「今の照れ隠しだよね」

「だな」

「お前らなぁ!」

「ちゃ、ちゃんとお礼すべきですよっ」

「あざーす」
「あーりーがーとー」
「ん」


こ、言葉とはこんなにも無力だったのでしょうか。

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