かえるとねこ
6章
それからというもの、


ねこさんとひなどりさんは、
石の裏をのぞいたり、
ぬれた葉っぱをひっくり返したりして、

何とか死んだむしさんや
死んだとかげさんを探し出しては、
それを食べて過ごしていました。

でも、やっぱりそれだけでは足りません。

日に日に、ねこさんとひなどりさんは
やせていきました。


「ねこさん」

「なあに?」

「あの・・・、
にんげんさんが入っていった、あの、
白い、大きな大きなもの、あったでしょ?
あの時・・・、わたしの、おかあさんが、
連れて行かれた時・・・
にんげんさんが入っていった・・・」

「にんげんさんのすみかのこと?」

「そう。中にね、年をとってよぼよぼの
にんげんさんが、いっぱいいっぱいいたの」

「そうなんだ」

「うん。だからね・・・、あそこで・・・
待ってたらどうかなって・・・」

「にんげんさんが、死ぬのを?」

「うん・・・」

ひなどりさんは、うつむいたまま、
ねこさんを見ませんでした。

ねこさんも、うつむいたまま、答えました。

二匹とも、
誰かが死ぬのを待つということが、
あまり良いことではないと思ったのです。
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