HEMLOCK‐ヘムロック‐
「お前は、俺がそこまで推理するのを逆手に取って行動をしてるスパイかも知れねーって事だ」
「なる程。まぁ確かに俺、かなり開き直ってるもんね。君が興信所で働けって提案も、あっさり受けたし。でも俺の理由は……」
「「盟の側に居たいから」」
界とイオがハモった。
「解ってるじゃん。まぁこの部分を疑いだしたら堂々巡りの推理になっちゃうんだけどね。俺はメイの側に居られれば、君達からの信用なんて二の次だよ。
……かと言って俺を野放しにも出来ないんでしょ?」
「ああ。だからその部分は思い切って信用する事にした」
「え! 公認って事!?」
「誰が認めたなんて言った!?」
目をキラキラさせて前に乗り出したイオに対し、界は青筋を立てながら両手で机を叩いた。
「……信用した前提でお前に聞きたいのは、何故“今さら?”って事だ」
イオの目は一瞬点になったが、直ぐに意味を解し、真剣な面持ちになった。
「お前が優秀だってのは、この3日でもすぐに解った。紅龍會でもさぞ幹部として重宝されただろうな。
でもそんなお前ならもっと早く日本に来れたハズだ。ずっと盟だけを想ってきたなら」
「ずっと想ってたよ」