小野先生とアタシ
傘の中に2人。
そして2人の間に少しだけの沈黙。
雨の中、車の走る雑踏の音だけが聞える。
「…先…生…?」
アタシが声をかけると先生は
ハッとしてさっきアタシが言ったことを思いだしたように聞いた。
「…だから…帰らないとかじゃないっていうのなら
どうして真っ直ぐに帰ってこなかったんだ?」
「だから、…その、財布をなくしちゃって…歩いて帰ろうかと…」
「財布?」
「はあ…」
アタシは改めて自分で自分の失態に呆れながら返事する。