この世界で二度きみを殺す
…そう。



僕が今まで見ていたのは、姉さんに重ねた、ちさとの面影。


そして思い出だったんだ。




この人の名前は新山美里。


一個違いの、ちさとの姉さんである。


双子ではないけれど、顔や体型といった姿かたちは、角度がつけば身内でも見間違えることがある。



事件の起こったあの夜、僕は姉さんに助けを求めた。



"酷い"


"よほどの恨みを持っているとしか思えない"



ちさとの変わり果てた姿を見て、姉さんはそう言った。




『あたしは何もしてあげられなかった。前の家にいた時も、怖くて影から見てただけ』


『警察は信用できない。この手で犯人を追い詰めたい』




姉さんは自身の経験から警察を嫌っていた。


昔、弱っていくちさとを見かねて、一度だけ警察にこっそりと助けを求めた事があるらしい。


けれど傷一つない姉さんに、証拠がないと言って警察は相手にしてくれなかった。


終いに迷子として処理され親を呼ばれ、その仕打ちは悪化しただけだった。



だから何としてでも自分の手で、犯人の尾を掴みたいと。


昔、自分は何もできなかったからと。



ちさとの、姉さんとして。
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