私に恋を教えてくれてありがとう【上】
あのあと

私は慎重に牧田さんの腕をほどき





「白石ですよ

 しらいし、そらですよ」





と、いつも以上に口角を上げてみせた。





そして、長くのばした黒髪を震える手で何度もとかしながら

牧田夫人が





「主人と


  二人にしてください」





と、唇をあまり動かさずに冷たく申し出た。





そらと淳一郎はその申し出を熟慮し、受け入れた。










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