私に恋を教えてくれてありがとう【下】
「華子……愛しているんです」
そっぽを向く私、ハンドルを前に俯く彼
急にファンの音が耳に入らなくなり
外気が漏れ出した気がした……。
…………熱い……。
彼は続けた。
「華子?
こっちを向いてください
華子?」
今度は私の方に声が飛んでくる。
「知ってますよ。
この間の事。
奥さんから聞きました……
ごめんね。
迷惑ばかりかけて……。
でもあなたのこと愛してるんです。
奥さんから
“この子の事愛してるの?”
と写真を出されて聞かれて
本当は否定すればよかったのかもしれないけれど
僕は何も言えなかった……。
愛してないなんて到底言えない。
君の写真を前に……言えなかった。
華子??
お願いだからこっちを向いてよ……」