私に恋を教えてくれてありがとう【下】
華子の温かさを奪い、そして凍りつかせた。
「わたくし、先週からずっと
お話しする機会を
作りたいと思っておりました」
男の片手が華子の二の腕を這った。
華子はとてつもなく卑しいものを感じ
もう仄めかさずに決然とした態度に出ようと決心した。
「手を……はなしてもらえませんかっ」
しっかり金井の視線を捕らえ声をしぼり出した。
……反応が怖い。
今の言葉でこの小男が憤慨でもしたらと危ぶんだ。
しかし金井は予想に反して素早く華子を解放したのだ。