私に恋を教えてくれてありがとう【下】
「採血の検査ですよね

 ではわたくしは採血室の前で待っていれば

 よろしいでしょうか?」




華子は狐につままれた感じだった。





「……はい、

 採血が終わりましたらまたこちらで

 お待ちいただきたいんですけれども……

 採血室の場所はお分かりになりますか?」





「ええ、ではまた戻ってまいりますので……」






金井は数歩華子から離れ、全身をべろっと眺めてから

一人採血室へと向かった。





華子は誰もいない超音波室へ駆け込んだ。




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