私に恋を教えてくれてありがとう【下】
「!?
何しやがるんですか!!!!!!!」
頬を潰され、唇が突き出したままほえた。
手を離した牧田は
細く垂れた目をまるまるとさせている。
……華子ははっとした。
仮にもこの人は“ドクター”なのだ。
そんな人に向かって何を言ってしまった!?
「す!すみま……」
「んはははははははは!!!!」
謝り終える前に
牧田はふんぞり返りひょうきんな声を上げた。
豊満な腹のせいでこちらに白衣のボタンが飛んでこないか心配した。
「先生……あの……
エコー始めてもらってもいいですか」
「“始めてやる”……んははははは!」
何だかこの人に気をおかなくていい気がした。
「ほら!先生!
患者さん呼びますからね!」
「え~もう?んはははは!」
いつまでたっても笑い終えない牧田に華子は
小さい声で噛み付いた。
「牧田先生!!本当に呼びますから!」
華子はふくれっ面で牧田を見た。
すると牧田は笑顔で華子の栗色の頭を撫で
「はい、よろしくね」
と簡単に懐柔させた。