私に恋を教えてくれてありがとう【下】
今にも雨を降らしそうな

不安定な低い雲

磯と排気ガスが化学反応を起こしたような臭いが鼻に引っかかる休日



以前白石祐樹と落ち合った

やや栄えた街並みに

華子はおり立っていた。



生温かい風が華子の前髪を乱した。





いつもは気にも留めない

行き交う人を観察し

彼氏待ちの少女

カップルを見つけては

華子の心の中に刺激臭が

飛び交った。


そんな中、少し遅れた春一番が

気味悪い空気を一掃し現れた。

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