愛のない世界
自分で付けた傷。


男達に汚された体。


見るも無惨な残痕は、何故か彩香に“生きている”と実感させる。

安心感すら覚えさせるのだった。


傷の痛みは、彩香に生きているという証をくれる。


傷痕もまた、彩香に生きているという証をくれる。



だから、自分で自分を傷付ける自傷行為を、続ける彩香。


いつまで、続けていくの…


死ぬまで、続けていくの…


止めても、生きていけるの…



考えても考えても、答は出ない。


答えも知りたくない、彩香。


答えを見つけないコトが、今は一番イイ方法なのだ。


まだ深い暗闇へと、彷徨っていたかったから…。


まだ彩香は、答はいらなかった。





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