愛のない世界
彩香は、男に優しく抱かれながらも確かな言葉が無く、不安だった。


今の幸せも、彩香は疑っていた。


常に不安と隣り合わせでいるコトによって、彩香自身、自分を防護していたのだ。


彩香は、男を深く愛すれば愛する程、不安は募っていった。


そして、行き場の無くしたもどかしい気持ちは、膨らみを帯びて張り裂ける寸前だった。


『この恋は、私の独りよがりなの…』

不安という魔物は、容赦無く彩香に襲いかかる。


それは、いつかの初恋にも似た恋の様に…。


忘れたハズの恋は、彩香から遠い昔の記憶を呼び醒ますのだった。


あの忌まわしい、過去の記憶を…





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