LASTLOVE
ただ、お互い嫉妬心はあったようだ。

春から、奈緒があたしのことを「可愛い」と不安にかけていたのを聞いたことがあった。
それぐらいで、少し気まずい程度だった。
だが、ここにはありえない場所で過去と現在の恋人が集まっているという、まさに異空間だった。

今は卒業してから一年経っていて、奈緒は大学院にいるらしいが、他は全員会社人になっている。
卒業後はサークルの集まりもなく、全員では一年ぶりの再会だった。

あたし達はその場の疑問も話すこともなく、無言で再び海外沿いを歩き出した。

あたしは政樹としっかり手を繋いで。

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