蒼い月の雫
「狗音!」

ただ落下するだけの狗音を見ながら悲痛な声で叫ぶ狼.

「姫ちゃん!狗音を・・・」

『大丈夫.見てて』


突然狗音の落下がピタリと止まった.そして・・・


「キャッ・・・」


いきなり狗音の体強い光を発した,と思うとその体は蒼い龍に変わっていた.



「狗音・・・なの?」

『あれがお兄ちゃんのホントの姿.エモーションはね?レベルが高いと人の姿になれるっていうのはさっき話したよね?』

姫の言葉に狼は頷いた.


『でもね,人の姿は仮の姿.ホントは・・・他のエモーションと同じような姿なの』


どこか躊躇うように話していたのは気のせいではないはず.
狼がフォールを初めて見たときの怯え様を知っているからだ.
だから,自分達を見たときの反応が怖いのだ.狼はそう悟った.


「そっか.すごいんだね.狗音も姫ちゃんも」


なので狼はゆっくりと姫の柔らかい毛を撫でた.
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