ほっとちょこれーと *【完】
でもね
ついに起こっちゃったの大事件
「お前みたいになサッカーなめてるやつが1番目障りなんだよ!!」
大会まで1ヶ月をきったある日、要君が翼君を殴った。
グーで殴ったのである。
「長谷川やめろって」
「なんでキャプテンはコイツ庇うんだよ!!」
「落ち着けって」
「コイツだってやめるって言ってんだし。やめさせればいいじゃん」
「いい加減にしろ!」
颯斗が怒鳴った。
「……やってられるか。こんな部活こっちからやめてやる」
要君は舌打ちをしてあたしたちに背を向けた。
「ちょ……要君」
「ほっとけよ」
「でも……」
「ほっとけって」
颯斗に言われて足が止まる。
「………。」
「練習するぞ。時間ないんだ」
追いかけらんない。
あたし卑怯者なの?
翼君を見ると俯いちゃってるし、他の部員もみんな下を向いてる。
誰も追いかけないのはみんなわかってるから
要君を連れ戻して翼君をやめさせるより
文句を言う要君がやめるほうがチームのためだってわかってるから…
このチームが勝つためには、結城 翼の力が必要だから。