ほっとちょこれーと *【完】
「俺やっぱりサッカー部やめます」
「え?」
帰り道ぽんって口に出す。
「なんで?」
「言ったでしょ?俺は先輩がいればそれでいいって」
「……。」
「長谷川先輩がやめてまで続けたくないし」
俺にとってサッカーは心結先輩の代わりだったからって翼君は続けた。
「うそつき」
「……え?」
「翼君がね、嘘つくときのクセ知ってるんだから」
いつか翼君に言われた言葉
「サッカー大好きなくせに」
うそ
クセなんてわかんないけどこれくらいわかるの。
わかるよ。
「ほんとは続けたいくせにさ。強がらないでよ」
「………先輩」
「みんなには通用しても、あたしにポーカーフェイスが通じると思うなよ」
ビシッと翼君の顔を指差す。
「でも恋愛禁止はイヤだな」
「ていうかあたし翼君と付き合ってないし」
「心結先輩に変な虫がつかないように、俺が傍にいないと」
あたしの手をギュッと握る。
「心配しなくてもあたしには翼君しか寄り付いてこないから」
笑いながらさりげなぁく翼君の手を振り払う。
さらっと
「先輩、気付いてないの?」