ほっとちょこれーと *【完】


「俺やっぱりサッカー部やめます」

「え?」


帰り道ぽんって口に出す。



「なんで?」

「言ったでしょ?俺は先輩がいればそれでいいって」

「……。」

「長谷川先輩がやめてまで続けたくないし」



俺にとってサッカーは心結先輩の代わりだったからって翼君は続けた。



「うそつき」

「……え?」

「翼君がね、嘘つくときのクセ知ってるんだから」



いつか翼君に言われた言葉



「サッカー大好きなくせに」



うそ

クセなんてわかんないけどこれくらいわかるの。

わかるよ。



「ほんとは続けたいくせにさ。強がらないでよ」


「………先輩」

「みんなには通用しても、あたしにポーカーフェイスが通じると思うなよ」




ビシッと翼君の顔を指差す。



「でも恋愛禁止はイヤだな」


「ていうかあたし翼君と付き合ってないし」


「心結先輩に変な虫がつかないように、俺が傍にいないと」



あたしの手をギュッと握る。



「心配しなくてもあたしには翼君しか寄り付いてこないから」


笑いながらさりげなぁく翼君の手を振り払う。


さらっと



「先輩、気付いてないの?」


< 45 / 300 >

この作品をシェア

pagetop