年上女ですが…それが何か???
勝手に膨らみかけていた朱里さんの恋のお相手の想像図が、今の言葉で霞みのように消えていった。
「……コータ、君…?」
「ここまで白状したし、ちゃんと言うね」
あまりに衝撃的な話の連続攻撃に、もうなに言われても驚かない気がした。
それが例え……フラれてしまう内容だったとしても……
「3年前から好きでした………俺と………結婚してください」
…………は?
「け、結婚っ!?!?」
「うん。俺は明さんと結婚したくて日本に来たんだよ」
はにかんだコータ君が優しく私の髪をかきあげて耳にかける。
でもその手はわずかに震えていて…………
「やっ…ちょっ……ま、待ってっ……」
何を聞かされても驚かないとぼんやり考えていた私の思考回路は、唐突にショートした。
「いくらなんでも飛躍し過ぎじゃないっ!?」
だって私達、付き合ってもないんだよ!?!
コータ君は私を前から知ってたかもしれないけど、私はつい最近知ったばかりで………
てか、ほんの数日前まで別の人と結婚するつもりでいたわけでっ……!!!
「返事はまた今度でいいから……」
悲しくそうな、困惑したような、バツの悪そうな顔をしたコータ君はそう言ってぎこちなく笑った。
