年上女ですが…それが何か???
何事かと視線を向けると、沙穂が恥ずかしそうに「あれが彼氏だよ」と囁いた。
見れば、こっちに満面の笑みで近づいてくる、ツンツン頭の少年が1人。
「沙穂、その人が噂の親戚のお姉さん?
はじめまして。すげぇ、綺麗っすね!」
あら、近くで見ると結構イケメン。
しかもお口もお上手。
「はじめまして。いつも沙穂がお世話になってまーす。
ふふっ、スバル君もイケメンね?」
………まあ、面食いの沙穂の彼氏なだけあるか。
「ちょっとアキ姉、色目使わないでくれる?
先輩は私のなんだからね!」
私の冗談に、珍しく慌てた様子で沙穂が割り込んでくるから、それが可笑しくてつい笑っていると、いつの間にかスバル君は台車を押して歩き出していた。
あらまあ、ここにもフェミニストが居たわ。
「駐車場まで俺が押していきますよ。
沙穂もムクれんな。
沙穂の親戚なら将来俺の親戚になるかもしれない人だろ?」
「せ、せんぱーい…」
片手で台車を押しながら、ふくれっ面をした沙穂の頭をポンポンと叩く。
途端に小娘がキラキラした表情に変わった。
小娘操縦法もマスター済みなのか。
なかなかやりよるな、小僧。
仲良く並んで歩いて行く2人を見てると、ちょっとだけ羨ましい気がした。
………っていうのは、絶対に沙穂には内緒だけど。
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