年上女ですが…それが何か???
しょうがない……
こうなったらもう、とにかく適当に……
「えっとねぇ、確か……
“今日も綺麗過ぎて、俺目眩しそう”とか、
“早く帰ってお前を味わいたい”とか……」
恐ろしくこっ恥ずかしいセリフを並べてやると、
『きゃー!マジでー!!』
電話越しでもわかるくらい、沙穂の喜び悶える声が返ってくる。
「マジマジ。今時の高校生って凄いよねぇ?
あんなセリフをさらっと言っちゃうんだから」
それについつい私も調子に乗っちゃったりなんかして。
「あと、“俺が欲しいのはお前だけ”とも言ってたな」
『いやー!!甘すぎるー!!!』
気づいたら、クソガキ=甘いセリフを平気で囁く男、みたいになっていた。
『月島先輩って実は甘甘キャラだったんだぁ。
うわ〜、一度でいいから私もあの声で囁かれてみたーい!』
「そうそう、だから“孤高のプリンス”なんて呼び名、ちゃんちゃら可笑しいんだってば」
『ホントだね!“甘甘プリンス”辺りに変えなきゃだね。
早速今から、皆に報告しちゃおうっと。
アキ姉、貴重な情報ありがと♪』
ぶぶっ…、寡黙な男を気取ってる奴がいきなり“甘甘プリンス”って……
………って、あれ?
なんか私、調子に乗りすぎた?
沙穂の言葉に、一瞬、目をハートにした女の子達に囲まれて困惑するクソガキの顔が脳裏に浮かんだものの。
………ま、いっか。
私は無理矢理それを頭の片隅にねじ込んだ。
「どういたしましてー♪」
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