年上女ですが…それが何か???






人って落胆した後にいきなりそれが叶うと、かなり激しく気持ちが高揚してしまうらしい。







「あ…、やっと来た」






そう言ってニッコリ笑うコータ君に、思いっきり抱き着きたい衝動に駆られてしまった。






でもでも、ここは我慢よ、明。






まだあの噂が残っていることに気づいて、私は素早くそんな自分を戒める。






代わりに、冷めた顔を無理矢理作り出して、





「何やってんの?」






ニコニコしてるコータ君に問い掛けると、






「ん? 待ってたんだよ?明さんを」



「……っ…!?」






さも当然って顔で言われて、またもや気持ちが高ぶってしまった。






ぐぐぐ……負けるな、私。






「あのさ…、今授業中でしょ?」



「クスッ……らしいね」



「らしいね、じゃないわよ!
何やってんのよ?受験生が!」






こんなの好きな人へのセリフじゃないと思いつつも、激しく動揺してる私の口は止まらない。







「サボりたいなら勝手に一人でサボりなさいよ。
私を巻き込むのは止めてよね!」



「そんなこと、俺に言っていいの?」



「いいも悪いも、自分の将来のことでしょーが!
私には関係ないし。
っていうか、後で責任取ってとか言われても…困る…し…」





ちょっ…近いって……







不意に近づいてきた顔のせいで、怒っていたはずの声がか細くなる中、あの艶やかな笑みを浮かべたコータ君が囁くように言った。






「俺さ、今日言われたんだ」



「……?」



「甘いセリフを平気で囁く人だったんだね?って」



「……、あ…」







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