白い鼓動灰色の微熱
大慌てで手に取ったものを放り出し、汚らわしいものを触ったその手を、体から離してぶんぶんと振るのだ。

彩世は笑いすぎて涙が出てきた。

これでは、作業が進まない。

彩世は笑いをかみ殺して、地面を掘った。

固い土は彩世の見た目と裏腹な腕力のお陰で、あっさりと掘られた。

彩世は縦に長く掘った穴の底に、ビニールに包まれた咲の塊を置いた。

「さよなら、咲ちゃん」
 
咲がどんな顔をしていたかよく覚えてないけれど、はじめてみたときの、かじり取られた爪と、ケアした後の綺麗な爪の両方が頭の中に甦った。
 
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