白い鼓動灰色の微熱
本来、物凄く気分屋な彩人は、幼い頃からたゆまぬ努力をした結果、彩世以外の人間の前では、その我がままを封じてきていたハズなのだ。
 
よほどのことがあったに違いない。

「今日、スタジオで、何かあったの?」
 
清香は頷いた。

「警察の人が来たのよ」


あ。


と、思った。

もう、ここまで嗅ぎつけてきたのか。

もう少しだ。

彩人さえ、オレを怪しいと突き出してくれれば、オレは止められる。


『何を?』


また、父の声がした気がした。

「最近変死した三人の人が、偶然にも彩人のライブやスタジオ入りした時間に殺されてるからって、それだけの理由で、わざわざ練習中に踏み込まれたの。練習の邪魔をされて、それで機嫌悪くしたみたい」

そうじゃない。

彩人は、それがオレの仕業だってことに気付いたんだ。

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