リアルな秘めゴト



ゆっくりとあたしの髪の毛に触れ、感触を確かめている朝倉さんは、仕事の時とは正反対の優しい表情で、あたしの事を見つめてくる。



…ど、どうしよう!

このままじゃあたし、心臓が持たないっ…!



ドSで仕事に厳しい朝倉さんだけど、よくよく考えれば、顔はかなり整っている方だ。


こんな人に、優しい視線で見つめられたら、あたし―――




「という訳で、今のプロットを元にして、原稿よろしくお願いしますね?」



「へ…?」




思わず、驚きの声を上げてしまう。


髪の毛を葬っていた朝倉さんの手が、簡単に離れていく事に、あたしは目を大きくしていた。




「何?キスするとでも思いましたか?」



「な…ななっ…!思ってませんよっ…!!」




やっぱりこの人、究極のドSだ!ドS大魔王だ!


そんな心の叫びを無視するかのように、朝倉さんは淡々と帰宅の準備を進めていたのであった。




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