ティアラ2
「……偽物じゃないでしょうね?」

手にいれたパッケージを端から端まで、隅々とチェックする。透吾はすかした態度で、「偽物かどうかぐらい、君なら見分けられるんじゃない?」と返してきた。

なんで、こんなにもたくさん持ってるんだろう。スクリーンは、試供品でも簡単に手に入らないはずなのに……。

「嬉しい?」

「……別に」

喜んでると思われたくない。

けれど、嬉しいに決まってるじゃない。

見てよ、これ。試供品でも、箱は実物並みにしっかりしてるし、中を開いてもパウダーのキメが他のメーカーとは全然ちがう。

チラッと横目で見る。

てっきり飲み終わるまで、変な話をしてくるんだろうなと思ってた。こんな高級品をたくさん持ってるわけだし、怪しい仕事をしているのは間違いないはずだもの。

けれど、透吾はただ飲むだけで、なにも話さず、窓の向こうを眺めながら細長い煙草をくわえてる。
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