ティアラ２

「あとで太一の住所、メールで送っといて。出前を頼みまくって金欠にしてやる」
ひとの不幸を笑う奴には制裁を。
「ああ……何か言われたのね」
電話を返すと、直子は苦笑いを浮かべ、切った理由を把握したみたい。

……自分でも自業自得だとは思うけれど、ひとに言われるとイラッとしてしまう。周りには「可哀想に」という目で見ていてほしいの。

「でも、ちゃんと心配してたよ……美和のこと。あいつ大丈夫かな、って」
直子はそう言いながら、携帯電話のキーをピコピコ押している。多分、そのメールは電話を切られた彼に送るものだろう。

邪魔しないようにと、あたしは静かにハーブティーを飲む。