ティアラ2
“時間を置いてから”

確かにいま行っても、こじれるだけかもしれない。でも、向こうはもう冷めたのかもしれないし、冷めてなかったとしても……時間を置けば、あたしたちの距離はもっと開くのかもしれない。
そして、その間に篤紀と笹野京香は、どんどん親しくなって……。

悪い想像をして、ため息をつく。すると、直子はまたメールを打ちながらつぶやいた。
「ひとの気持ちなんて、そう簡単に変わらないよ」

……心の声が聞こえたのかと思った。

「深町は……あんたの悪いところをぜーんぶ知った上で、一年半も一緒にいてくれてたんでしょ? ……それってすごいじゃない。なかなかいないよ、あんたみたいな……面倒くさいのを相手にするなんて」

文章を書きながらだから、直子のしゃべりは遅い。
彼女は「あたしだけかと思ってたけど」と付け足して、クスクス笑う。
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