ティアラ2
「お疲れ様」
紙コップにお茶を注ぎながら、彼はそう言ってあたしを追い出した。


「っざけんじゃないわよ!!」
マンションを出て、すぐ目についた噴水の縁を何度も蹴った。

「何時に起きたと思ってんの!?」
昨日の夜、篤紀のことばかり考えて眠れなかったあたしは、遅刻しないよう目覚ましをセットして、早く起き、眠たい目をこすりながら準備をしてきたの。

「……こんな顔で帰らなきゃいけないとか、最悪」
家を出る前、あたしは鞄の中にあった化粧品のポーチを、部屋に置いてきた。てっきりメイクしてもらえると思っていたから、あぶらとり紙とファンデーションしか持ってきていない。

「気分屋め」
ファンデーションを顔に塗りながら、あたしはブツブツつぶやく。空へとそびえ立つマンションを見上げながら。
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