ティアラ2
「眼力が弱ぇんだよ。アイラインやマスカラがないと、そんなもんか?」
「何言ってんの、ちゃんと見なさいよ。目ぇ腐ってんじゃないの」

多分、彼はわざと怒らせようとしてるんだ。そういう表情を撮りたいのだろう。
わかっていながらも、あたしはイライラした口調で言い返す。だって、投げられる言葉は本当にカチンとくるものだから。

静かなスタジオ内で、あたしと透吾は口喧嘩。けれど、しばらくして……。

「だめだ」
彼はやる気をなくしたというかのように、スッとカメラを下ろした。
少しずつその気になっていたあたしは、まばたきで乾いた目を潤わしながら「え?」と問いかける。

「帰っていいよ。今日はもう撮らないから」
「はぁっ!?」
透吾はそばにいた圭太くんにカメラを渡し、テーブルの上にあるペットボトルに手を伸ばす。
< 394 / 527 >

この作品をシェア

pagetop