ティアラ2
周りがバタバタと動き出し、気がつくとこの場には透吾とあたししかいなかった。

「じゃあ俺らはいい席を探すか」
スッと手を差し出される。
「……」
何よ、その手。
なんで手を繋がなきゃいけないわけ?

自分に向けられる手のひらを睨んで、反抗的に両手を後ろで組んだ。その行動を見た透吾は、目を丸くしてクスクス笑い、「はいはい」と呆れている。

肩を並べるだけのあたしたち。

「あっちぃな」
車に置いてあったウチワを持ってきた彼は、風を作りながら、うっとうしそうな声で言う。
「…………」
彼と違って頭が人ごみに埋もれるあたしは、迷子にならないように必死だった。
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