ティアラ2
「ないよ」

素っ気ない態度。毎回、この3文字で返される。まぁ、「あったよ」なんて言われるよりはマシだけど……。

「ていうかさ、そんなふうにしつこく聞くってことは……自分がやましいこと、何かあるんじゃねぇの?」
「えっ? ないよ! ないないっ!」

ゴロンと体のムキを変えて、顔を隠すあたし。逆に聞かれるとは思ってなくて、声がうわずってしまった。怪しい、と言いたげな視線が背中にささる。

「まぁいいけど」
あっさりと引き下がる、彼。
「……」
ゆっくりと寝返って、篤紀の横顔を見つめた。

ぼんやりと思い出すのは、花火の日。

あのときは一瞬だけ、気持ちが揺らいだ。

……篤紀と出会う前だったら、あたしは透吾を好きになっていたかもしれない。自分をちゃんと持っていて、大人な考え方の彼に惹かれつつあったから。だけど……。
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