ティアラ2

「泣いたってやめねぇからな」

ゆっくりとあたしの体を倒した後、彼は刺々しい口調で念を押してくる。あたしは彼の眼鏡を外しながら、微笑んだ。

「痛くしたらはっ倒すからね」

前に、直子が言ってた。あたしたちにもそういう時期がきっとくる、って。

……いまだと思う。

もう離れたくないの。もっと近づきたい。……篤紀とひとつになりたいんだ。


薄暗い部屋の中、耳に聞こえるのは、時計の針が動く音と、ふたりの微かな吐息。

彼は何度も優しいキスをくれる。
何度も「好きだ」と言ってくれるの。

その夜はあたしたちにとって、一生忘れられない時間となった。

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