彼女ノ写真
運搬を終えた頃には、すっかり陽も落ち始め、廊下は薄暗くなっていた。




幾つかの教室から零れる、灯りとそこから聞こえる、誰もいない廊下に反響する笑い声が、放課後特有の心情を呼び起こす。




美術室では、サイオンジ先輩が温かなココアを入れてくれていた。




優しい───ありがたい。




ココアを飲みながらシキちゃんを探すと、すでに帰ったとの事だった。




それを聞いて、少し落ち込む僕の横では、マキ先輩と二宮さんが、何故かポーカーで熱くなっていた。





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