彼女ノ写真
あの時、まだ純真で可愛らしかった僕が経験した血の気の引き方より、この日の引き方の方が遥かにダイナミックだった。




まさかまさか、寒くも無いのに全身が震え、天井がグルリと回り、立っていられないほど血の気が引くとは───、、、。




僕は倒れない様にイスにしがみ付き、落ち着きを取り戻す為に、深く息を吐いた。




ただ、息を吐く事に夢中だった。




吐く事に意識を集中し過ぎて、吸うのを忘れてしまう───なんて、そんな事あるかよ?!って話だけど、残念ながらこの時の僕は、息を吐くんだと言う意志が、呼吸をすると言う動物としての本能に勝った様で、酸欠と言う、それこそ動物の生存本能が危険ゾーンを告げるまで、息を吐き続けていた。




言い訳を考えるとしたら、それぐらいテンパっていたと言う事だ。





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