彼女ノ写真
途中、友達数人と談笑しながら購買に向かうエークンとすれ違い、私に気付いたエークンは、こちらに向かって軽く手を振った。私もそれに答える為、軽く手を上げた。




彼は私とは違い、社交性が高く、人付き合いが上手い。




シキちゃんだって、エークン以外の人には、美術部メンバーとさほど変わらない対応で、社交性があると言える。




何故、エークンにだけ?と、彼が美術室に来る様になった頃は思っていたけれども、今はその理由を知っている。




直接は聞いていないから、あくまで私の予想のハンチュウを出てはいないけれども、きっとそうだろう。エークンだって、それぐらい解っているのだろう。




社交性───それは私もぜひ身に付けたいモノだけれども、人を拒絶してきた期間が長い私は、上手く他人と接する方法を忘れてしまっていた。




忘れてしまったとは正確ではないか。私は子供の時から、人付き合いが苦手だ。




それはやっぱり、私の持つ稀有な力のせいでもあった。





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