彼女ノ写真
───なんて、そんなの空元気だな。正直、もう限界だ。疲れた。自転車を漕いだまま、眠ってしまいそうなくらい───




「───疲れた、、、、、、あれっ!?」




それは無意識に音になった言葉だった。




ここ1時間ぐらい掛けて、僕の心に溜まり続けて来た身体中からの不満なのだろう。




思わず声が漏れたと言う事は――口から零れてしまったと言う事は――それの許容量が限界を向かえたと言う事なのだろう。




そうなると、待ちに待った命令を喜んで実行する様に、身体が急に重くなったように感じた。




ヒザがガクンと、音でも発したかの様に抜け、自転車を漕ぐ事を拒否し始める。




それまでに蓄えられたスピードが、徐々に落ち始める。




ハンドルを押さえる両腕がゆっくりと折れ曲がり、徐々に顔がハンドルに近付いていく。




そんな時だった。ヒザの単独行動は許すまいと、フトモモがヒザを勝手に引っ張り上げた。





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