海の乙女
みんなは唖然とした。
あたしが頭から水をかぶったからじゃない。
さっきまで足だったものが金色に輝くヒレに、銀色だった髪が夕日のように輝くオレンジに変わったからだ。
人魚は海水で濡れると本来の姿を現す。
そのなかでも金色のヒレはめったにない稀少なもの。
そして闇市場でより高値で売買される『商品』となるのだ。
「ハァ…。これで分かったでしょ?あたしを売れば高く…」
「すっげー!!!」
あたしが言い終わる前にライトが目をキラキラさせて大声で叫んだ。
「え…?」
「人魚ってこんなに綺麗なんっスね!」
「これは売るなんてもったいないな!」
「やっぱり拾ってきて正解だっただろ!」
ライトは自慢げに胸を張り、鼻を高くする。
ロビンやフレッドたちがが素早く「お前が威張るな!」とツッコミを入れた。
「…やめてよ。」
「え?」
「やめてよ!!最初のうちはそうやって優しくしておいて、結局最後には売るんでしょ!!今までだってずっとそうだった!!偽りの優しさなんていらない!優しくしないでよ!!!」
あたしはバンッと扉を開け、船内へと逃げた。
もしかしたら、今度は違うかも、なんて期待をしてしまうじゃない…。