君には、絶対に…
ま、まさか！？

睦の様子を見た瞬間、俺の脳裏には、夏休み中に睦が言っていた言葉が過ぎった。

ようやくバスケに集中しようと決めたのに、ここで引き戻されたくない。

そう思って、俺も焦りながら、急いで睦の後を追った。

「睦！ちょっと待―――」

「なぁ、今井～？今月の２３日って暇？俺と洋介、バスケの大会に出るんだけどさ、見に来ない？」

女子の群れを掻き分けながら、何とか食い止めようとしたけど、一足遅く…。

睦は今井さんを見つめて笑いながら、もう大会のことを話していた…。

今井さんはどこか困惑した表情を浮かべながら、何も言わずに黙っている…。

それもそうだ。

いきなりバスケの試合を見に来ないかって聞かれても、何で自分なのか分からない。

絶対に断られるに決まっている…。

「良いの？じゃあ、行こうかな！私、バスケやってるところ、見るのが好きなんだよね！」

「え…？」

困惑していた表情が一変して、今井さんは笑顔で睦に答えた言葉を聞いて、俺は予想外の返答だったから、今度は俺が困惑していた…。

まさか来るなんて思ってもいなかったし、何で来ようと思ってくれたのか分からなかったから。

でも、今井さんが来てくれるという事実に変わりはなくて、気合いを入れなきゃいけない状況にも拍車がかかったのも事実だった。

今井さんが来るなら、負け試合なんて見せたくない。

そんな気持ちが、俺を練習に打ち込ませた。
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