ルージュの森の魔女
三人の男たちは唖然としている男性を残しと早々にその場から立ち去る。
少し歩くと前を行く青年は半歩後ろを歩く二人の男たちに低い声音で話しかけた。

「――それで、収穫はあったか?」

すると、右斜め後ろを歩いていた赤髪の青年がニッと笑う。

「あぁ、あったぜ。どーやらルージュの森は別名『迷いの森』って言うみたいでよ、何だか知らねぇがある程度進むとさっきいた場所に戻るみたいだ」

すると今度は左側の淡い若草色をした長髪の青年が深刻な表情で口を開いた。

「それと、どうやら『奴ら』も我々と同じモノを探しているようです。先日、この街に住む老人が全身黒いマントで身を包み深くフードを被った怪しい者たちにルージュの森に住む魔女について聞かれたと言っておりました……」

その言葉に今まで黙って話を聞いていた青年が急に顔をしかめる。

「……奴らが現れたか。まぁ、ある程度予想してたことだが奴らより早く魔女を見つけないと手遅れになるな。何処かで落ち合うことも必然的だろう。――そして、ジンの話からすると、どうやら魔女は森に何重も結界を張っているようだ。それを辿れば魔女の住み処に行き着くだろう……」

青年の言葉に赤髪の青年は好戦的な色を瞳に灯し、若草色の青年はくすっと微笑む。

そして、次に放たれるであろう言葉を待った…。





「――よし!お前たち、奴らより早く魔女を見つけ、秘宝の在処を聞くぞ!」







――こうして、三人の若者はティルバンを発ちルージュの森へと向かったのであった。


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