リアル
所謂国保は周知の事実通りで、この制度は、国民全員が国保に加入し、実際に掛かった医療費の負担額を減らす制度だ。詰り、国民全員で積み立てた保険代金のストックを使用して運営し、その制度自体は理に適った制度であり、結果、分け隔て無く安心して医療を受ける事が出来、倫理的にも人道的にも素晴らしい物である。だが、昨今の核家族・少子化・個人間の付き合いの希薄さ等の複数の要因が絡まり合い、社会的弱者や高齢者を社会から一掃して孤立へと追い遣っている。結果、年を取り身体が弱った高齢者は病院へと通院し、其処で近所付き合いと云うか、病院自体が寄り合い所の機能を果して医療費を圧迫すると云う、本末転倒の様な現象が起きている。年を取れば少なからず身体は悪く成るし、健康な者でも細かく調べ上げれば不健康な個所は見付かる、そう云った状況下で、高齢者は身体の健康よりも、心の健康を求める様に病院へと通う。田中は、そう云った高齢者の孤独を知った上で、坂部の言葉を遮った。
「分かっとるよ……」
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